美術史領域

Art History Cource

美術史研究室が教育を提供する芸術専門学群の「美術史領域」では、古代から現代にいたるさまざまな時代や地域の芸術に関して学び、「芸術とはなにか」という根本的な問題をはじめとする、多種多様な問題を実証的に解き明かす専門的な能力をつちかうことを目標とする。

スピーカー

下山雄大さん

2019年度入学

入試形態

後期

入学前について

Q.受験しようと思った理由はなんですか?

総合大学である点や受験科目などを踏まえて筑波大を志望校に含めることにしました。特に後期入試ではセンター試験が3教科しか求められなかったのには助かりました。

Q.美大ではなく筑波大を選んだ理由はなんですか?

総合大学ならではの、文学や哲学、表象文化論など美術史学とは違うアプローチの学問も学際的に学べることが魅力的だと考えたからです。

Q.実技対策を始めた時期を教えてください。

筑波大は第1志望ではなかったため、本格的な対策はしておらず、前期入試が終わった後に準備を始めました。具体的には、好きな絵画の絵葉書を観察してディスクリプションを書いたり、佐々木健一『美学への招待』(中公新書)を読んだりしました。小論文対策をいつはじめるかよりも、小論文対策を通して作品やテクストに長時間向き合う粘り強さを身に着けておこうという姿勢が大事だと思います。

Q.芸術に興味を持ち始めた時期を教えてください。

小学校低学年のころからミュージアムに行くのが好きでした。高校2年生のときに近現代美術への関心が深まりました。特に高校生のうちは食わず嫌いをせずに様々な美術・芸術に触れられるようにすると良いと思います。

現在・領域について

Q.所属領域でどんなことを学べますか?

美術史領域の授業は極めて専門的かつ多様であり、学生は様々な時代や地域の作品やテクスト、美術館について学ぶなかで、美術史の研究のアプローチを体得していきます。なかでもおもに2・3年生が履修する「美術史演習」では、美術に関する研究発表や文献購読を行います。学生自身が主体的・実践的に作品やテクストを検討し、先生や学生からの豊富なフィードバックをもらうことで、美術についての知識はもちろんアカデミック・スキルの面でも大きな成長が実感できるでしょう。美術史に関する科目は数多くあり、中でも2・3年生は1週間に最大5~6コマ分を使って美術史を学ぶことになります。また、美術史領域の学生のほとんどは博物館学芸員資格を取得するための授業も履修するので、博物館に関する科目も加わります。さらに、人文・文化学群をはじめとする他学群や他領域の授業の履修も容易にできるので、美術史学に限らず文化・芸術への幅広い学びに開かれています。

Q.領域を決めたきっかけ・他に興味があった領域について教えてください

美術史の授業を受けたり卒論発表を聴いたりするなかで、美術史を学んでいこうという気持ちがより確かになりました。私は領域や学群を変えることは考えませんでしたが、美術史領域から他の領域や学群に移る人も例年います。

Q.今研究していることや、制作している作品の紹介をどうぞ!

①20世紀のカナダの美術について研究しています。筑波大学には、学群生の1~3年生の研究を支援する制度「先導的研究者体験プログラム」があり、助成金をいただきながら研究を進めています。また、2021年の9月から翌年の4月までカナダの大学にオンラインで交換留学しているので、そこで得た知見も役立てています。学びたいこと・知りたいことがあればどんどん追求できる環境だと思いますよ。
②CAIR(Campus Artist in Residence)という筑波大学主催のアートプロジェクトにキュレーターとして参加しています。海外の美術大学の学生と芸専生が対話と協働を重ねて作品を作り上げていくというプロジェクトです。本当に貴重な体験なので、学ぶことが多いです。

Q.とってよかった授業はなんですか?

美術史の授業はどれも取ってよかったし、実技の授業では作品のできるプロセスを学べたのでやはりとってよかったです。個人的に一番印象に残っているのは、美術史領域の林みちこ先生による授業です。美術について、作品だけでなく展覧会やアカデミーといった制度の面からどのように検討すればいいのか学ぶことができました。また、他学群では比較文化学類の青柳悦子先生による授業が印象に残っています。文学作品を文学理論と社会的背景を踏まえながら精読していく過程の魅力に引きずり込まれるような授業でした。

今後について

Q.希望している進路について教えてください。

今後の目標は大学院に進学して修士号を取得し、学芸員になることです!美術史領域には美術館や研究所での勤務の経験もある先生方も多いですし、美術史領域を卒業し修士号を取得した多くの先輩方が美術館で働いています。そうした人のネットワークから学べることも多いです。身近にロールモデルをみつけられる環境はありがたいです。

Q.目指している人物像について教えてください。

美術や社会、自分自身に対する高い批評性を備えることや、作品やテクスト、コミュニティに誠実に向き合うことを目指しています。いつも作品のそば、美術のそばに居れる人間でありたいですし、そうあれるよう努力しています。

Q.尊敬、参考にしている作家さんはズバリ!

尊敬している研究者はたくさんいます。お名前を挙げていたらかなり長くなってしまうので省略します。著名な本を読むのはもちろん、各大学の紀要を読んだり研究発表に足を運んだりしていると心をぐっと惹かれる研究をしている人に出会えます。筑波大の体芸図書館や中央図書館では国内外の美術に関する書籍やジャーナルにアクセスできるので、ぜひ最大限に活用して尊敬できる人をみつけてほしいです。

Q.活動部屋について

最後に、上の項目でお答えできなかった観点から、筑波大で美術史を学ぶことのアドバンテージを3つ紹介します!
①美術史領域では先生方との距離が近いのが大きな魅力です。2021年度は美術史領域に5人の先生がいます。各学年の学生数がだいたい5人以下なのを考えれば、かなり恵まれています!ぜひ先生と積極的に対話をして視野を広げてほしいと思います。
②筑波大は、留学(交換留学・語学研修)がかなりしやすいです。私自身もオンラインでカナダの大学に交換留学をし、美術史を学んでいます。留学先の地域・大学の選択肢が多くて、奨学金ももらえるので海外に興味のある人にもおすすめできます。
➂東京に近いので、つくばで生活していても首都圏の美術館やギャラリー、図書館に簡単にアクセスできます。私は都内の美術館でボランタリーな活動をして、美術館について実践的に学んでいます。ほぼ毎週末違う美術館に行けるのは至福です笑
皆さんと一緒に美術史を学んで、キャンパスライフを謳歌できるのを楽しみにしています!